Union Distillery(ユニオン)ブラジルウイスキー50年の歩み
半世紀におよぶモルト蒸留の歩みと自生樹木カスク熟成の新潮流
カシャッサ(cachaça)の産地として名高いブラジルですが、ウイスキー造りの歴史もすでに50年に達しています。ブラジル南部に位置する蒸留所 Union Distillery(ユニオン・ディスティラリー)は、早くも1974年からモルトスピリッツの蒸留を開始しました。2019年以降、同国のウイスキーは存在感と多様性を大きく高めており、老舗による自社ブランドボトリングの再開や、新興クラフト蒸留所、同国初のインディペンデントボトラーの参入によって活気づいています。
Union Distillery の生産規模と技術提携
Union Distillery は1980年代にスコットランドの Morrison Bowmore と提携して技術を導入し、その後長年にわたり原酒のバルク供給に注力してきました。蒸留所は2016〜2017年にベント・ゴンサウベス(Bento Gonçalves)へ移転し、2019年に自社ブランドのボトリングを再開しました。Inside the Cask の報道によると、年間純アルコール生産量は約200万リットル(最大能力300万リットル)を誇ります。スコットランドのフォーサイス社製を含む銅製ポットスチル3基、30,000リットルの糖化槽1基、15基のステンレス製発酵槽を備え、発酵時間は約90時間に及びます。熟成庫には20,000樽以上が貯蔵され、Pure Malt Exclusive などのシリーズを展開し、ピーテッドモルトの生産比率は約6〜7%を占めています。
ご興味はおありですか? Bowmore ボウモアのラインナップを見る
自生樹木カスク熟成とボトラーズの台頭
ミナスジェライス州の Lamas Destilaria は、さらに個性的なブラジルスタイルを体現しています。ラマス兄弟によって設立された同蒸留所は2019年に初のシングルモルトをリリースし、アンブラン(amburana)、バルサモ(bálsamo)、アンジコ(angico)といったブラジル原産の木樽を用いた熟成を実践しています。創業者のマルシオ・ラマス氏は、フィニッシュ期間を慎重に見極めなければ樽香がモルト本来の風味を覆い隠してしまうと語ります。また、ユーカリで燻製した麦芽を使用し、伝統的なピートとは異なる独自の薫香を引き出しています。
あわせて読みたい: ウイスキー樽の完全解説:種類、風味への影響、カスクフィニッシュ熟成
ブラジル初のインディペンデントボトラーである Lunatic Asylum は、2024年末にペドロ・パイヴァとラファエル・ナルディによって設立されました。記念すべき第1弾「Crystal Mountain」は、Union Distillery が2013年に蒸留した原酒をファーストフィルバーボン樽で11年間熟成し、アルコール度数54%、ノンチルフィルター、無着色で250本限定ボトリングされ、即座に完売しました。第2弾「Golden Mouth of Ruin」はバーボン樽で5年熟成後、ネッビオーロのワイン樽で13か月以上追熟させ、同じく54%で349本が詰められました。
温暖なブラジルの気候は熟成管理にシビアな挑戦を突きつけます。熟成庫の年間蒸発率(エンジェルズシェア)は5〜7%に達し、スコットランドの1〜2%を大幅に上回ります。高温環境は成分抽出を加速させるため、ヴァッティング時の精緻な樽コントロールが欠かせません。輸入酒との競合や流通コストの課題を抱えながらも、カシャッサ樽の伝統やワイン樽の活用、ボトラーズ文化の発展とともに、ブラジルウイスキーは成熟したエコシステムを築きつつあります。
📅 公開日: 2026-10-16
🔗 情報源: The Whiskey Wash